53vてから
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53vてから [2024/02/10 15:47] – [基本情報] kaken | 53vてから [2025/05/05 14:32] (現在) – kaken | ||
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行 3: | 行 3: | ||
1.旧JLPT該当級:4\\ | 1.旧JLPT該当級:4\\ | ||
2.品詞: 文型[[用語の説明|【用語の説明】]]\\ | 2.品詞: 文型[[用語の説明|【用語の説明】]]\\ | ||
- | 3.前接: V**て**形\\ | + | 3.前接: V(動詞)**て**形[[⑥動詞活用|⑥[動詞活用] ]]\\ |
4.意味: 1時間の前後関係、動作の順、継続\\ | 4.意味: 1時間の前後関係、動作の順、継続\\ | ||
2起点 | 2起点 | ||
行 13: | 行 13: | ||
・1たら[[41たら|41[たら]]] | ・1たら[[41たら|41[たら]]] | ||
===== 文型を使う上で理解が必要な情報 ===== | ===== 文型を使う上で理解が必要な情報 ===== | ||
- | ・**主節/従属節**[[⑬文のタイプ|[文のタイプ]]]\\ | + | ・**主節/従属節**[[⑬文のタイプ|⑬[文のタイプ]]]\\ |
主節のできごと=Q\\ | 主節のできごと=Q\\ | ||
従属節のできごと=P\\ | 従属節のできごと=P\\ | ||
行 23: | 行 23: | ||
**[V1て(P)から~V2(Q)]:PをするまでQをしない。Pを強調する。PとQが継続する(Pのできごとの終了後に、引き続いてQが起こる)。** \\ | **[V1て(P)から~V2(Q)]:PをするまでQをしない。Pを強調する。PとQが継続する(Pのできごとの終了後に、引き続いてQが起こる)。** \\ | ||
=== 機能1用例: === | === 機能1用例: === | ||
- | 例1.歯をみがいてから、寝なさい。\\ | + | 例1.歯を**みがいてから**、寝なさい。\\ |
- | {{例1_てから.mp3}}\\ | + | 例2.手を**しょうどくしてから**、教室に入ってください。\\ |
- | 例2.手をしょうどくしてから、教室に入ってください。\\ | + | |
- | {{例2_てから.mp3}}\\ | + | |
例3.子ども:「お母さん、今、ゲームやってもいい?」\\ | 例3.子ども:「お母さん、今、ゲームやってもいい?」\\ | ||
- | お母さん:「だめ。宿題をやってから、(ゲームを)やりなさい。」\\ | + | お母さん:「だめ。宿題を**やってから**、(ゲームを)やりなさい。」\\ |
- | {{例3_てから.mp3}}\\ | + | 例4.日本に**来てから**、すぐに結婚した。\\ |
- | 例4.日本に来てから、すぐに結婚した。\\ | + | |
- | {{例4_てから.mp3}}\\ | + | |
=== 機能1と使い分けが必要な文法・文型: === | === 機能1と使い分けが必要な文法・文型: === | ||
・Vたあとで\\ | ・Vたあとで\\ | ||
行 39: | 行 35: | ||
・たら | ・たら | ||
=== 機能1と使い分けが必要な文法・文型の用例: === | === 機能1と使い分けが必要な文法・文型の用例: === | ||
- | 例5.食事をしたあと(で)、ずっとテレビを見ている。\\ | + | 例5.食事を**したあと(で)**、ずっとテレビを見ている。\\ |
- | {{例5_てから_2.mp3}}\\ | + | 例6.授業が**終わったあと(で)**、映画を見に行く。\\ |
- | 例6.授業が終わったあと(で)、映画を見に行く。\\ | + | 例7.うちに**帰って**、ごはんを食べる。\\ |
- | {{例6_てから_2.mp3}}\\ | + | 例8.部屋を**出るまえに**、電気を消す。\\ |
- | 例7.うちに帰って、ごはんを食べる。\\ | + | 例9.日本へ**来るまえに**、日本語を勉強した。\\ |
- | {{例8_てから.mp3}}\\ | + | 例10.ごはんを**食べたとき**、「ごちそうさまです」と言います。\\ |
- | 例8.部屋を出るまえに、電気を消す。\\ | + | 例11.日本へ**来たときに**、おみやげを買った。\\ |
- | {{例9_てから.mp3}}\\ | + | 例12.うちに**帰ったら**、ごはんを食べる。\\ |
- | 例9.日本へ来るまえに、日本語を勉強した。\\ | + | 例13.ごはんを**食べたら**、「ごちそうさまです」と言います。 |
- | {{例10_てから.mp3}}\\ | + | |
- | 例10.ごはんを食べたとき、「ごちそうさまです」と言います。\\ | + | |
- | 例11.日本へ来たときに、おみやげを買った。\\ | + | |
- | 例12.うちに帰ったら、ごはんを食べる。\\ | + | |
- | 例13.ごはんを食べたら、「ごちそうさまです」と言います。 | + | |
=== 機能1と使い分けが必要な文法・文型の違い: === | === 機能1と使い分けが必要な文法・文型の違い: === | ||
V1た(P)あとで~V2(Q) V1(P)→V2(Q)(PとQの前後関係)\\ | V1た(P)あとで~V2(Q) V1(P)→V2(Q)(PとQの前後関係)\\ | ||
行 58: | 行 49: | ||
V1て(P)から~V2(Q) V1(P)→V2(Q)(PとQの継続)\\ | V1て(P)から~V2(Q) V1(P)→V2(Q)(PとQの継続)\\ | ||
V1て(P)~V2(Q) V1(P)→V2(Q)(PとQの順)\\ | V1て(P)~V2(Q) V1(P)→V2(Q)(PとQの順)\\ | ||
- | V1たとき(P)~V2(Q) | + | V1たとき(P)~V2(Q) V1(P)→V2(Q)(Pの時点のあとQ)\\ |
V1たら(P)V2(Q) V1(P)→V2(Q)(PとQの前後関係)\\ | V1たら(P)V2(Q) V1(P)→V2(Q)(PとQの前後関係)\\ | ||
- | | + | |
\\ | \\ | ||
- | **※「V1て(P)から~V2(Q)」と「V1た(P)あとで~V2(Q)」**\\ | + | **※<color #ed1c24>「V1て(P)から~V2(Q)」</ |
「V1た(P)あとで~V2(Q)」:P→Qという時間の前後関係\\ | 「V1た(P)あとで~V2(Q)」:P→Qという時間の前後関係\\ | ||
「V1て(P)から~V2(Q)」:PをするまでQをしない;Pを強調する;PとQが継続する\\ | 「V1て(P)から~V2(Q)」:PをするまでQをしない;Pを強調する;PとQが継続する\\ | ||
\\ | \\ | ||
+ | ☞**#**:非文(正しくない文・不適切な文)を指す[[用語の説明|【用語の説明】]]\\ | ||
**①「V1て(P)から~V2(Q)」のほうがいい:PとQの継続**\\ | **①「V1て(P)から~V2(Q)」のほうがいい:PとQの継続**\\ | ||
例) 歯をみがいてから、寝なさい。\\ | 例) 歯をみがいてから、寝なさい。\\ | ||
- | 例)#歯をみがいたあとで、寝なさい。\\ | + | 例)#歯をみがいたあとで、寝なさい。×\\ |
例) 手をしょうどくしてから、教室に入ってください。\\ | 例) 手をしょうどくしてから、教室に入ってください。\\ | ||
- | 例)#手をしょうどくしたあとで、教室に入ってください。\\ | + | 例)#手をしょうどくしたあとで、教室に入ってください。×\\ |
\\ | \\ | ||
**②「V1た(P)あとで~V2(Q)」のほうがいい:PとQの前後関係**\\ | **②「V1た(P)あとで~V2(Q)」のほうがいい:PとQの前後関係**\\ | ||
- | 例)#1時間かけて掃除してから、子供に部屋を汚された。\\ | + | 例)#1時間かけて掃除してから、子供に部屋を汚された。×\\ |
例) 1時間かけて掃除したあとで、子供に部屋を汚された。\\ | 例) 1時間かけて掃除したあとで、子供に部屋を汚された。\\ | ||
\\ | \\ | ||
- | **③「V1て(P)から~V2(Q)」しか使えない:Pが起点**\\ | + | **③「V1て(P)から~V2(Q)」しか使えない:Pが起点** cf.機能2\\ |
例) 私がこの会社で働き始めてから、もう3年が経った。\\ | 例) 私がこの会社で働き始めてから、もう3年が経った。\\ | ||
- | 例)#私がこの会社で働き始めたあとで、もう3年が経った。\\ | + | 例)#私がこの会社で働き始めたあとで、もう3年が経った。×\\ |
- | ※**「Vてから」と「たら」**\\ | + | ※**<color #ed1c24>「Vてから」</ |
**「Vてから」:時間的前後関係**\\ | **「Vてから」:時間的前後関係**\\ | ||
**「たら」:時間的前後関係+条件**\\ | **「たら」:時間的前後関係+条件**\\ | ||
- | 例)ごはんを食べてから、「ごちそうさまです」と言いなさい。→ごはんを食べてからでないと、「ごちそうさまです」とは言えない。\\ | + | (cf.例3)\\ |
- | 例)ごはんを食べたら、「ごちそうさまです」と言います。→ごはんを食べることが「ごちそうさまです」をいうための条件だ。 | + | 例)子ども:「お母さん、今、ゲームやってもいい?」\\ |
+ | お母さん:「だめ。宿題をやってから、(ゲームを)やりなさい。」\\ | ||
+ | ⇒「宿題→ゲーム」の順\\ | ||
+ | 例)子ども:「お母さん、ゲームやってもいい?」\\ | ||
+ | お母さん:「だめ。宿題をやったら、(ゲームを)やりなさい。」\\ | ||
+ | ⇒「宿題が終わる」ことが「ゲームをやる」ための条件 | ||
==== 機能2★:ある変化や継続的なことの始まり(起点) ==== | ==== 機能2★:ある変化や継続的なことの始まり(起点) ==== | ||
=== 機能2用例: === | === 機能2用例: === | ||
- | 例14.私がこの会社で働きはじめてから、もう3年がたちました。\\ | + | 例14.私がこの会社で**働きはじめてから**、もう3年が経った。\\ |
- | {{例11_てから.mp3}}\\ | + | 例15.大学生に**なってから**、アルバイトを始めた。\\ |
- | 例15.大学生になってから、アルバイトを始めた。\\ | + | 例16.朝**起きてから**、家を出るまで1時間かかる。\\ |
- | {{例12_てから.mp3}}\\ | + | 例17.先週かぜを**ひいてから**、ずっと体調が悪い。\\ |
- | 例16.朝起きてから、家を出るまで1時間かかる。\\ | + | |
- | {{例13_てから.mp3}}\\ | + | |
- | 例17.先週かぜをひいてから、ずっと体調が悪い。\\ | + | |
- | {{例14_てから.mp3}}\\ | + | |
=== 機能2と使い分けが必要な文法・文型: === | === 機能2と使い分けが必要な文法・文型: === | ||
・Vて\\ | ・Vて\\ | ||
=== 機能2と使い分けが必要な文法・文型の違い: === | === 機能2と使い分けが必要な文法・文型の違い: === | ||
- | ※「V1て(P)」「V1て(P)から」の大きな違いはないが、「V1て(P)から」を使ったほうが起点がよりはっきりする。\\ | + | ※「**V1て(P)**」「**V1て(P)から**」の大きな違いはないが、「V1て(P)から」を使ったほうが起点がよりはっきりする。\\ |
例)私がこの会社で働き始めてから、もう3年が経った。\\ | 例)私がこの会社で働き始めてから、もう3年が経った。\\ | ||
例)私がこの会社で働き始めて、もう3年が経った。\\ | 例)私がこの会社で働き始めて、もう3年が経った。\\ | ||
行 110: | 行 103: | ||
例)Aさんがピアノをひいて、Bさんが歌を歌った。 P→Q、PとQ | 例)Aさんがピアノをひいて、Bさんが歌を歌った。 P→Q、PとQ | ||
===== コラム ===== | ===== コラム ===== | ||
- | ➣「V1て(P)から」はQには**状態**を表す文は使えないが、「V1た(P)あとで」はQに**状態**を表す文が使える。\\ | + | ➣「V1て(P)からV2(Q)」はQには**状態**を表す文は使えないが、「V1た(P)あとでV2(Q)」はQに**状態**を表す文が使える。\\ |
- | 例)#パーティーが終わってから、部屋はごみで**いっぱいになっていた**。\\ | + | 例)#パーティーが終わってから、部屋はごみで**いっぱいになっていた**。×\\ |
例) パーティーが終わったあとで、部屋はごみで**いっぱいになっていた**。\\ | 例) パーティーが終わったあとで、部屋はごみで**いっぱいになっていた**。\\ | ||
\\ | \\ | ||
➣「いつするのか」という**時を表す**とき、「V1て(P)から」は使えるが、「V1た(P)あとで」は使えないことがある。\\ | ➣「いつするのか」という**時を表す**とき、「V1て(P)から」は使えるが、「V1た(P)あとで」は使えないことがある。\\ | ||
- | \\ | ||
例) 受け付けは5時からです。**5時になって**から、来てください。\\ | 例) 受け付けは5時からです。**5時になって**から、来てください。\\ | ||
- | 例)#受け付けは5時からです。**5時になった**あとで、来てください。\\ | + | 例)#受け付けは5時からです。**5時になった**あとで、来てください。×\\ |
例) **朝になって**から、私たちは出発した。\\ | 例) **朝になって**から、私たちは出発した。\\ | ||
- | 例)#**朝になった**あとで、わたしたちは出発した。\\ | + | 例)#**朝になった**あとで、わたしたちは出発した。×\\ |
\\ | \\ | ||
- | ➣「V1たあとで~V2」のV2(Q)に、**命令形**や**意志形**は使いにくいが、「V1てから~V2」のV2に、**命令形**や**意志形**は使える。\\ | + | ➣「V1た(P)あとで~V2(Q)」のV2(Q)に、**命令形**や**意志形**は使いにくいが、「V1て(P)から~V2(Q)」のV2(Q)に、**命令形**や**意志形**は使える。\\ |
- | 例)#お金をためたあと(で)、旅行に**行こうと思っています**。\\ | + | 例)#お金をためたあとで、旅行に**行こうと思っています**。×\\ |
- | (松岡弘、『初級を教える人のための日本語文法ハンドブック』、p.203)\\ | + | |
例) お金をためてから、旅行に**行こうと思っています**。\\ | 例) お金をためてから、旅行に**行こうと思っています**。\\ | ||
- | (松岡弘、『初級を教える人のための日本語文法ハンドブック』、p.203) \\ | ||
\\ | \\ | ||
**まとめ** | **まとめ** | ||
行 137: | 行 127: | ||
|Qに状態を表す文| |〇| | | | |Qに状態を表す文| |〇| | | | ||
|いつするか|〇| | | | | |いつするか|〇| | | | | ||
- | |Qに命令形や意志形|〇| | | | | + | |Qに命令形や意志形|〇|(〇【V1たときV2】) |
===== 確認問題 ===== | ===== 確認問題 ===== | ||
1 日本に{a.来たあとで b.来てから}、1年になります。\\ | 1 日本に{a.来たあとで b.来てから}、1年になります。\\ |
53vてから.1707547631.txt.gz · 最終更新: 2024/02/10 15:47 by kaken